夏の宵をイメージする付下げ
暑い時期の濃色のきものは、まぶしい陽射しから逃れてほっとひと息つくような涼しさを見る人に感じさせてくれます。今回着用した絽の付下げの深い墨色は、さしずめ暮れゆく夏の空、裾に描かれた雲も夕陽に染まるイメージでつながります。夕暮れから徐々に表情を変え、涼風が立ちはじめる夏の夜を身にまとうかのような、ドラマティックな一枚です。風にそよぐススキを織り出した袋帯で秋の風情を先取りしたコーディネイトにしてみました。夏の夜のフォーマルをはじめ、お茶会や和の催しなど、どんな場にも品よくなじむ付下げです。このように裾模様にポイントを置いた付下げの意匠は、きもの英(はなぶさ)の得意とするもののひとつです。もちろんゴージャスに色柄を重ねる礼装も素敵ですが、色数を抑えたシックな意匠は、帯合わせで異なる表情が演出でき、自在に着回しができます。洗濯機で洗える気軽さもあり、ヘビロテに耐えうるのも嬉しいところです。毎年、毎シーズン、さまざまなバリエーションをご用意しておりますので、興味をお持ちくださった方は、ぜひ神楽坂のお店までお運びくださいませ。