優しい印象で着こなせる小紋
淡いベージュ地に、ほんのりピンクで絞り風の飛び柄を染めました。ふんわり優しい雰囲気なので「優絞り」と名づけた、きもの英(はなぶさ)オリジナルの小紋です。さりげない女らしさと気品がありとても着やすく、堅苦しくはないけれど少しあらたまった機会などに選ぶことの多い小紋のひとつです。帯によってがらりと異なるイメージが演出できるのも、重宝するゆえん。こういった無地感覚の薄色の着物を安心して着られるのも、洗える着物の大きな魅力のひとつです。ピンポイントで季節の花や風物を印象的に見せるコーディネイトも楽しめますね。今回は、黒地の水仙の染帯でキリッとまとめてみました。こんなに寒くても、春はたしかにやって来ているんだなという明るい気持ちになれます。こうして季節の自然や風物を装いに託すのは、豊かな四季に恵まれた日本ならではの文化ですね。季節の情趣を美しく伝え、着ている本人も心が浮き立つ着物の醍醐味といえます。しかし近年の自然環境の変貌はあまりに大きく、今年1月からは気象庁の生物季節観測が大幅に縮小されるという発表も。水仙の開花も観測の対象からはずれてしまったそうです。なんとも寂しいことですが、せめて着物の上では、ずっと愛されてきた季節感を大切にし続けていたいものです。