お茶や着付け、踊りなどお稽古やお出掛けに、東京神楽坂の最高級洗える着物専門店 | きもの英(きものはなぶさ)

第14章 オリジナル商品の開発

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きもの英・創業物語
~ 聞き書き・武田豊子一代記 ~​

第14章 オリジナル商品の開発

以前にも少し申し上げましたが、弊店は創業以来、派手な宣伝をしたことがなく、口コミでその存在を知られるようになった店です。しかし、この人から人への輪ほど強いものはありません。そして、これ以上にありがたいものはありません。また、これほど難しいこともありません。口コミで広げていくには、まず人様の信用を頂戴しなければならないのですから。
弊店では、初期の段階からよそにはないオリジナル性に意を凝らし、品質や仕立てに技を尽くして、本当によいものをつくりたいと努力していました。これもまた、裏を返せば素晴らしいお客様あってのことです。母が商いを始めた当初より、洗える着物に興味をお持ちになり、英をご贔屓にしてくださるようになったのは、絹の着物を日常的にお召しになる方々でした。それだけに、母の心を貫いてきたのは、絹に見劣りするものであってはならないという信念です。絹を着尽くし、そのよさも不便さも知り尽くした方々が、変わらない気持ちで手に取り、袖を通せるような品質、意匠のものを提供しなければならないという思いを抱いたのです。
たとえば、フォーマルシーンで、日本人として最も美しく場に映える礼装は、やはり着物を置いて他にないといえます。それだけに、雨が降ろうが大雪だろうが、汚れを覚悟してでも着用が求められることがあります。そんな時に、絹とも見まがう質感とステイタスを感じさせる意匠を持ち、しかもお手入れの簡単な洗える着物があれば、お召しになる方の負担はずいぶん軽減されるはずです。あるいは、フォーマルだけでなく、お茶や踊りのお稽古をされている方、お仕事で着用を求められる方など、シーンに応じてお求めいただけるような商品のバリエーションや差別化も必要だと考えました。
このように、高い美意識と厳しい選択眼をお持ちの方々のご要望にお応えできるものを追求した延長線上に、オリジナル商品の開発がありました。どんなお客様にも自信をもっておすすめできる商品をという思いは徹底したこだわりにつながり、“英好み”というべきテイストに昇華されていきました。よりよい意匠と品質を追求する情熱…それはあたかも、開発担当者たちと額を寄せ合い昼夜を忘れて商品の改善に取り組んだ合繊素材の黎明期を思い起こさせるものでした。ただ、違うのは、色柄のセンスや染めの美しさ、縫製のよさという、異なるジャンルで、それぞれに弊店の志を理解し協力してくださる方々のご協力が必要なことでした。