飛び柄小紋を大人可愛く

秋が深まるにつれて、着物の装いも深く濃い色を選ぶことが増えてきます。今回選んだ紫紺も、出番の多くなる色あいです。ほどよく華やいだ表情をプラスしてくれる小ぶりな花紋の飛び柄は、きもの英（はなぶさ）の洗える着物のなかでも人気の高い柄です。エレガントなフォルムにほんのりひとさし、紅色があしらわれているところが、なんともいえず女っぽいポイントで、重厚になりがちな濃色にさりげなく可愛げのある表情をプラスしくれます。無地場が多く上品なこの小紋は、袋帯を合わせればおすましな装いもできます。今回は吹き寄せの花籠を刺繍であしらった名古屋帯を合わせました。吹き寄せといえば落ち葉や木の実が風によって吹き集められた様子を描いたもので、秋の風情を伝える柄のひとつ。色づく木の葉が風に舞う神楽坂を歩くのも楽しい、洒落たコーディネイトになりました。限られた季節しか着られない着物や帯は、着用機会が限定されると敬遠する人もいらっしゃいますが、「今着なくては」という思いからかえってヘビロテになるというのが実感です。