おっとりとした雰囲気、舞踊で身につけた優雅な身のこなしも印象的な由美子さんは、英40年来のお客さま。明るい色の着物がよくお似合いです。今では息子さんのお嫁さんと一緒にいらっしゃることもしばしば。そんな仲良しぶりからも、幸せなご家族の空気が伝わってきます
再開した踊りを楽しみながら
生まれ育ったのは長崎の大村という土地です。実家は酒屋・米屋を営んでいて、よちよち歩きの頃から、芸妓さんのお母さんが自宅に踊りを教えに来てくださっていたのを覚えています。小学生になってから本格的に藤間流のお稽古を始め、中学校1年で横浜に転居した後も同じ流派の師匠をご紹介いただいて、結婚するまでずっと続けていました。結婚後は約20年のブランクがあったのですが、体調を崩したのを機に、体力づくりを兼ねて踊りを再開することに。師匠のご引退後は新しい師匠のもとに通い、踊りから長唄や小唄、端唄、民謡、三味線まで教えていただいています。今は週2回に増やしたお稽古が楽しくてたまりません。
仕事を引退して始まった新しい人生
というのも、結婚してから2015年の8月までは主人の働く会社の事務をずっと手伝っており、なかなか落ち着いて自分の時間が持てませんでした。一人息子の子育て中も、子連れ出勤したり近所の人に見ていただいたりしながら仕事を続けました。だから寂しい思いをさせたかもしれませんね。ただ、参観日などの学校の行事ごとには必ず着物で行きました。お正月も家族みんな着物で過ごすことをごく普通にしていたおかげでしょうか、息子も着物が大好きになってくれました。嫁が来て近所に所帯を構えてからは、娘ができた気分であれこれ着物の世話を焼くことも楽しみのひとつになりました。5歳の孫にもできるだけ着物のよさを伝えたいですね。そんなわけで、今はお稽古事と息子一家とのふれあいが生きがいですが、仕事を引退してできた自由な時間を人のために使いたいという思いがあります。少しでも私がお役に立てることがあればと、シルバー人材センターに登録したところなんですよ。未体験のことにも挑戦したいと思っていて、これからの人生にワクワクしています。
私のお気に入り
初めて買ったリバーシブルのコート
英へは、仕事の大先輩でもあった主人の叔母に連れて行ってもらったのが最初です。約40年近くも前のことです。もともと華やかな色が好きで、こちらも目をひくけど派手すぎない赤の色あいと、リバーシブルでも着られる便利さが気に入って購入しました。どんな着物にも合わせやすく、お正月や踊りの会、参観日やちょっとしたお出かけなど、本当に活躍してくれました。思い出深い一枚です。
踊りのテーマに合わせて選んだ柄
ご祝儀ものの踊りで舞台に立つ時に、何かふさわしいものをと探しに行って、出会った訪問着です。宝尽くしを取り囲むような花柄が重厚感のなかにも愛らしさを感じさせてくれて、とてもやさしい印象の意匠ですよね。また色あいも絶妙で、舞台にもとても映えました。結婚式などのお祝い事の席にも重宝しています。
大胆ながらも無地感覚で着られる訪問着
踊り用に無地が欲しいと思ってご相談したら、こちらをすすめていただいて、とても心惹かれました。大胆な雪輪柄ですが、遠目には無地っぽく見えるところも面白くて。今までは比較的華やかなものを好んで着ていましたので、新しい挑戦でしたが、着映えがする上に活用しやすいことに満足。踊りの会をはじめ、どんなシーンに着ようか楽しく考えています。