梅雨どきも爽やかな印象で
落ち着きのあるマットな緞子地を単衣に仕立てた小紋です。柄は格の高い江戸小紋五役のひとつ、あられ文様のなかでも薩摩島津藩の定め柄とされた「大小あられ」。こういった江戸小紋柄は、色無地感覚で格が求められるシーンに着られるのも重宝する所以ですね。これはドットの配置で、縦に間道を表現し、きもの英(はなぶさ)ならではの粋な意匠にまとめています。淡い水色の地色も、そんなキリッとした雰囲気にぴったりです。白地の帯は塩瀬の名古屋帯。この季節ならではの、露草の手描き柄が目を引くポイントです。可憐だけど可愛くなりすぎず、清々しい着姿を引き立ててくれます。絵柄に使われている色ともリンクする温かみのあるイエロー系を帯揚げや帯締めにあしらうことで、クールな表情にやわらぎを添えました。同じ着物でも、もう少し季節が進んで夏帯を合わせてコーディネイトすれば、さらに涼感たっぷりに着こなすことができます。あられ文様は水玉のカテゴリーでもあるので、雨粒に見立てて梅雨ファッションを楽しむのも一興です。空模様が気になる日のお出かけも、洗える着物だから安心。坂の多い神楽坂のまちで、どんなにそっと歩いてもついてしまうことのある泥はねなどの汚れも、帰ってすぐにお洗濯すればきれいに落とせます。