5月の雨をイメージした装い
生地は、シボが大きく重厚感のある風合いが特徴の古代縮緬。こっくりとした濃紫にぽつぽつとドット柄を配した小紋です。今回はこのドットを雨粒に見立てて、青麦とえんどうの花を手描きした帯を合わせ、降り注ぐ雨の景色をイメージしてみました。「五月雨(さみだれ)」は旧暦の6月、梅雨のこと。少し季節を先取って本格的な梅雨を迎える前に楽しむのも素敵な装いです。街歩きや美術館めぐりなど、“技あり”のお洒落を楽しみたいときにぴったりですね。洗える着物の専門店きもの英(はなぶさ)が店舗を構える神楽坂のまちにも似合います。こういった「見立て」の美意識は、文芸や茶の湯など和の世界の原点といえます。ほんの少し想像力を発揮することで、思い思いの物語が綴れるものの見方は、もちろん着物にも応用できるもの。難しく考えなくても「これって◯◯に見えるかも」という遊び心があれば、コーティネイトの発想がより豊かになります。きもの英では、そんなちょっとした着こなしのコツやアイデアを、お客さまとご一緒に楽しみながら、着物選びをお手伝いしたいと思っています。