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ご贔屓さんのクローゼット

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  3. No.102「宝塚で培った『五月ワールド』を舞台の指導に活かして。」尾上五月さん

closet : 102
宝塚で培った『五月ワールド』を舞台の指導に活かして。

宝塚では男役・五月梨世として人気を博し、1982年に退団後はキャスターやレポーターとしてご活躍。日本舞踊尾上流でも数々の舞台を踏み、現在では「舞踊教室・さつき会」を主宰し指導に力を入れられるとともに、タカラジェンヌOGで結成したレビュー・ジャパネスク浪漫「炎樹」で日舞とライブパフォーマンスを展開されるなど、颯爽とご活躍です。

尾上五月HP http://www.onoe-satsuki.com

幼い日からの夢をかなえて

神戸生まれの神戸育ち。遠縁の親戚に南風洋子という宝塚のトップスターがいて、家族で宝塚を観に行くことが習慣になっていました。今では記憶にもない幼い頃から「宝塚に入る」と言い続け…「どうせ無理でしょ」という家族の予想を覆し一発合格、夢にまで見た日々が始まりました。初舞台後すぐに、関西テレビの連続ドラマ『三銃士』のアラミス役に新人ながら選ばれ、半年間演じたあとすぐにNHK連続テレビ小説のレギュラーに大抜擢。1年間、まるまる舞台に立たずテレビの仕事でお茶の間に顔を知られる存在となったのです。その後、劇場に戻り、男役として本格的な活動が始まりましたが、舞台に立つほどに自分の実力がついていっていないという葛藤を持つようになって。今思えば、贅沢な悩みだったのですが、結局逃げ出すように退団してしまったのです。

巡り巡って、宝塚時代の経験をフルに生かす

その後、数々の経験を経て日本舞踊家の道へ。どうしても宝塚時代の癖が抜けず、立ち役については師匠のご主人から一からご指導いただく中で「五月にしかできない舞踊の世界があるからそこは個性として大事にしなさい」と言っていただきました。思えば、日本舞踊は性別による役割分担のない貴重な芸術。だからこそ立ち役として重宝され、宝塚で学んできた男役の美学を生かすことができるのです。向いていないと背を向けたこともありましたが、巡り巡って戻ってきました。生涯の友人にも恵まれ、やはり私にとって宝塚は特別な場所だったとしみじみ思います。また、他のダンスやバレエを学び、大舞台で演じてきた体験は、他のジャンルから入ってきた人への的確なアドバイスや、演技や化粧に踏み込んだレッスンなど、指導者として私ならではのスキルにつながっています。これからも日本舞踊を中心として、他の誰にも真似できない「五月ワールド」を展開していきたいですね

私のお気に入り

踊りのイマジネーションが刺激される波柄

立ち役を踊る時は、キリッとした柄を選ぶようにしています。紺地の波柄は、見たとたん「これで何を踊ろう?」とワクワクしました。日本は海に囲まれた国ですから、踊りの題材に波や水がついてくるものが多いんです。たとえばご祝儀の舞踊でも、青海波や七福神などおめでたいモチーフには波がついてきますし、江戸の風景を謡うものでも水がよく出てきます。自然と波のモチーフも、出番が多くなるのです。水色の単衣は、以前神戸のメリケンパークでよさこい踊りの審査員をした時にもぴったりで、好評でした。

大好きな猫柄の楽屋のれん

大好きな猫柄の楽屋のれん応援してくださっている三味線の先生の奥さんが贈ってくださったものです。私も彼女も猫好きで、やっぱり猫を入れたいわね、とこれまた三味線奏者でありイラストレーターでもある方が猫の絵柄を描いてくださって。三味線にゆかりの方は、猫を大切にされることが多いそうです。まさに猫つながりで、色違いで2枚の可愛いのれんが完成しました。やはり楽屋に出入りする時はドーランなどで汚れやすいので、のれんは洗えるものがいいというのが仲間内でも常識になりつつあります。

お稽古からパーティーまで大活躍する付下げ

夏場は大きい舞踊の会や、パーティ、ディナーショーが多い季節。お稽古からそのままパーティに行かなければいけない時もあって、そんな時に大げさでなく適度な華やぎと品格があり、しかも洗うことができるこの付下げはとても重宝しています。きもの英とのおつきあいは、着物好きだった母の時代から。よく神戸の展示会でお世話になっていたそうです。私の成人式の振袖も白地で誂えたもので、とても美しかったのを覚えています。残念ながら阪神大震災で、着物も写真もすべて焼けてしまいましたが、こうしてご縁が続いていることが幸せですね。

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