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ご贔屓さんのクローゼット

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  3. NO.109「より楽しくわかりやすく、日本舞踊の魅力を多くの人に。」藤間京之助さん

closet : 109
より楽しくわかりやすく、日本舞踊の魅力を多くの人に。

生まれ育った仙台で、2歳から藤間流の師匠について踊りを始め14歳で名取に。あでやかな美貌と表現力豊かな舞踊で、一瞬にして観客を魅了する藤間京之助さんは、凛として理知的な素顔もまた魅力的。演劇や他流派との舞台、また仙台のご実家と東京・銀座の稽古場でのご指導など、さまざまな形で日本舞踊普及に尽くされています。

日本舞踊への熱い思いをかたちに

中学生の時、東京藝術大学に日本舞踊専攻科があり、そこを出た先輩たちが活躍されているのを知って、自分が目指すのはここだと心に決めました。念願かない入学して一番嬉しかったのは、同じ思いを持つ同世代の仲間に出会えたことです。というのも、それまで稽古場は年上の方ばかり。大学に来たみんなも同じような境遇で、日本舞踊をもっと広めたいという熱い気持ちにあふれていました。それが今はさまざまなかたちになっていて、たとえば卒業した先輩が「丸く楽しくわかりやすく」をコンセプトに流派を越えて立ち上げた「藝○座(げいまるざ)」という団体があり、私も参加しています。もうすぐ発足15周年を迎え、認知度も活動の幅も広がってきました。また、私は今、日本橋にある劇場型ラウンジ「水戯庵」というところで週に1、2日、舞踊公演の舞台に立っています。お酒を飲みながら気軽にご覧いただけるので、外国の観光客をはじめ、初めて日舞にふれるお客さまが多い場です。いただいたご感想から新鮮な視点に気づけることもあり、貴重な体験になっています。

舞踊の奥にある心情や風情を伝えるために

藤間流は家元が歌舞伎役者だっただけに、芝居を意識する表現が多いのが特徴。それをセリフではなく身体表現するのが難しくもあり、楽しくもあります。誰も実際には知らない江戸時代の風情や、そこに生まれた感情を、自分なりに解釈しながらできるだけ正しく伝えたいと思っています。「この時代にはこういうものがなかったからこの感情は生まれないよね」とか、かなり突っ込んで考え抜くので理屈っぽいと言われることもありますが(笑)、舞踊家は学究肌なのかもしれません。日本舞踊と聞くと、お金がかかりそうだと思って敬遠する人も多いのですが、アプローチの方法によってさまざまな可能性があるはず。日本文化を知っていただく、身につけていただくという意味で、もっと気軽にたくさんの人が興味を持ってくださる環境や見せ方を追求していきたいです。

私のお気に入り

3シーズン着られて、着心地もお気に入り

初夏から盛夏、秋口まで、単衣と夏着物を兼ねて長い期間着られる変わり竪絽素材。シャリ感のある風合いも涼やかで心地よく、あまり透け感がないのでとても着やすいんです。シワにもならず、洗ってもすぐに乾くので、地方での仕事にもよく持っていきます。出張の多い主人(舞踊家・尾上菊透氏)も偶然、色違いで同じ柄を購入していました(笑)。道中の塵除けに活躍する羽織は、何にでも合うほたるぼかしがお気に入り。私は半幅帯で出かけることも少なくないのですが、カーディガン感覚でさっとはおるだけできちんとして見えるので重宝します。

晴れやかなシーンで活躍する波柄の訪問着

爽快なブルーの、涼やかな夏着物。よせてはかえす波柄は慶事にふさわしく、また舞踊にもよく出てくるモチーフなのでパーティから舞台にまで活躍してくれる訪問着です。着物は絹でないと!と主張していた母も、この上品な色柄とクオリティを見てすっかり宗旨替えしています(笑)。余談ですが、私は大の猫好きで、今も2匹と暮らしています。猫って、上質なものに乗りたがる癖があって、ちょっと目を離すとより上等な絹の着物を選んで乗っています。これまで、合繊は無視でした。ところが、英のきものには、乗るんですよ、気持ちよさそうに(笑)。

色・素材ともに最高のちりめん地の黒紋付

単衣の黒紋付は、後見の時に必ず着用するユニフォームのようなもの。後見は動きも多く、本当に肉体労働です。着物が汚れるのはあたり前だけに、洗えるきもののありがたみを強く感じます。また、このちりめん地は女性用だけしかないとのことですが、ほどよい落ち感があって、着心地がしなやか。しかもなかなかに出会えない見事な漆黒で、素晴らしいです。

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