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  3. NO.92 「着物は着ることによって受け継いでいける日本の文化」吉本直子さん

closet : 92
着物は着ることによって受け継いでいける日本の文化

フリーランスライター、編集者としてのキャリアは30年以上。医療、健康、美容、教育、料理、歌舞伎、浮世絵など多様なジャンルの見識と取材力を活かして、多くの雑誌記事や書籍に企画から携わり、制作活動を続けておられます。日本の伝統工芸、芸術にも親しんできた直子さんですが、着物に目覚めたのは意外にも最近のことでした。

目標は「還暦パーティを母の着物で」

浮世絵の研究や、歌舞伎雑誌の仕事、茶道の稽古を通じて、日本文化には昔から高い関心を持っていたものの、着物は結婚式やお茶事などのイベント時以外、着ることはありませんでした。それが、満60歳の誕生日を1年後に控えたある日、「母の着物を自分で着て、還暦誕生日パーティを開こう!」と思い立ったのです。そこで、母ともども昔からお世話になっていたきもの英の女将に相談したところ、神楽坂で教室を主宰するすみれ堂着付け教室の立川直子先生をご紹介いただきました。まず実際に着付けをお願いしたり、コーディネート講座に伺ったりしてみて、立川先生の指導力とセンスにすっかり惚れ込みました。着付け小物やコーディネートも、時代に合わせて進化していることを実感しましたね。そして、月2回のプライベートレッスンに通った結果、最初は肌着の着かたも着物のTPOも知らなかった私が、3ヶ月後にはひとりで着物を着て歌舞伎座に出かけられるまでになりました。還暦パーティの目標が無事に達成できたことは、言うまでもありません。

あらためて感じる母の想い

私の母は茶道と書道の先生をしていて、週の半分は着物で過ごしていました。でも、若い頃の私は仕事に忙しく、母のしていることがよく理解できなかったんですね。ある時、「なぜそんな地味なことしているの?」と聞いたら、母は「日本の伝統文化を継承していくことが大切だと思うから」と答えたんです。当時の私には、その意味がよくわかりませんでした。それなのに、今の私は母と同じことを言うようになっています。母は認知症で、コミュニケーションを取ることが難しい状態ですが、和箪笥には私に託そうと揃えてくれた着物や帯がたくさんあります。着物を着るようになり、あらためて見ると、たとう紙に着物の色や柄、帯にはどんな着物に合わせるかがひと目でわかるように書いてあり、ありがたさが心にしみます。もう少し早く着物を着るようになっていれば、一緒に着てお出かけもできたのに……という思いもありますが、今は息子の嫁が着物に興味を持ち、同じ着付け教室に通っています。こうして時代や世代を超えて受け継いでいくことができる着物は、ファッションとしても文化としても素晴らしいものですね。

私のお気に入り

洗えるだけでなく、素敵だから欲しくなる

濃い紫の小紋は、私が初めて自分で選んで買ったきもの英の着物です。色味も柄のバランスも絶妙で、おしゃれな着こなしが楽しめます。うさぎ柄の方は京都の老舗・千總の製品で、細部まで手が込んでいます。”いかにも千總”という仰々しさはなく、すっきりしたセンスが私の好みに合っています。余談ですが、私は30年以上前からきもの英の長襦袢しか着たことがないので、長襦袢というものは、すべて半衿付きのまま洗濯機で洗えると思っていました。それが常識ではないと知った時は、衝撃でしたね。

初夏から初秋まで長く着られる変わり竪絽

歌舞伎や文楽を鑑賞することが多いため、歌舞伎公演の多い8月と1月は特に忙しい季節。多い時には月に7回8回と劇場に通います。特に夏場は道中の汗や突然の天気の変動など、汚れが気になるので、英の洗えるきものが手放せません。こちらは母から譲り受けた帯に合わせて選んでもらった千筋で、6月から9月まで着られる変わり竪絽という便利な素材です。6月末の米沢への1泊旅行にも着て出かけました。気温36度のなか、着物でサクランボを摘んだり夕立ちに遭ったりしましたが、帰宅してすぐに洗濯したので問題なし!同行した人たちからも、とても好評でした。

洋服感覚で着られるコートや羽織りもの

茶道の教師をしていた母にとって、洗える着物は必需品だったようです。私のために揃えてくれた和装の中にも、当然のようにきもの英のコートがあり、とても重宝しています。最近、気軽に羽織れるものが欲しいなと、長めの丈の羽織をつくってもらいました。洋服でいえばカーディガンジャケット的な感覚で着られます。母からの昔の着物を、小物や着こなしで現代風にコーディネートするのが私のお気に入りです。

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