パワフルな行動力と明るい笑顔で、誰からも「たまちゃん」の愛称で親しまれる立真子さん。35歳で生命保険会社に入社、以来、家庭と両立しつつライフプランナーとしてキャリアを積んでこられました。さらに5年前、お姉さまを介して始まった着物を愛する人々との交流が、人生に大きな変化をもたらすことに。
「あしなが育英会」の子どもたちに振袖体験を
姉が独立して着物のリサイクルとレンタルの店を始めたのは彼女が60歳の時です。着物が身近になったことで、私も着付けを習い始めました。社交的な姉はまたたく間に仕事を軌道に乗せ、人脈を広げていきました。そんな知り合いのなかに「あしなが育英会」の方がいて、ボランティアで子どもたちに振袖体験を提供することになり、姉とともに私もお手伝いすることに。SNSで共感したプロの着付師や美容師の方も駆けつけてくださり、プロの手できれいになっていく自分の初めての姿に、子どもたちの顔がみるみる輝いていくのがわかりました。その姿に感動して、私たちも絶対に続けよう!と誓いあったのです。そんな意義ある活動も含め、日本人の誇りともいえる着物の文化性、芸術性に、私自身すっかり魅せられたのです。
着物という文化を伝える使命感
姉は、残念ながら2年前に他界してしまいました。でも、一人でも多くの方に着物を着ていただきたいという思い、共感してくださる人々との絆を、かけがえのない財産として遺してくれました。その思いをつなぐべく、姪たちのひとりは青山にお店を移して姉のサロンを引き継ぎ(※1)、もう一人は白金のサロンに加え今年10月に帝国ホテルプラザ内に人力車常設の着物体験店をオープンさせるなど(※2)、頼もしい限りです。そして私も姉のご縁から女性の経営者グループやさまざまな集いに参加し交流を続けさせていただています。普通には出会えない、社会で活躍されている素晴らしい先輩方がお友達としてつきあってくださるのも、間に着物があったおかげ。また私自身60歳を過ぎ、互いに社会でがんばってきた「共有感」を分かち合えるところもあるのかなと思います。今はこれまで仕事や着物を通じて培ってきた経験をどのように社会貢献に生かしていけるかを勉強しているところです。自分自身も楽しみながら、着物を次代に伝えるために草の根的な活動を続けていきたいですね。
※1 アート着物サロン青山(紹介制) 代表・西田直子(HP準備中)
※2 「KIMONO QUEEN(キモノ・クイーン)」代表・高橋利恵
私のお気に入り
万能コーディネートでシーズンイベントにも活躍
サーモンピンクに水玉の小紋は、遠目には色無地に見え、何にでも合わせられるので便利です。クリスマスシーズンにはこんなコーディネートも気分を盛り上げてくれます。合わせた帯は、市販のものに自分で染めを加えました。パーティで知り合ってすっかりその作品に惚れ込んだ染色アート作家の白石眞弓先生の教室に通いはじめて2年になります。先生が用意してくださったトナカイの染め型を見てクリスマスの帯をつくろう!とこの赤い帯を探し出し、もともとの木立の柄になじませるようにトナカイと、さらにつくっていただいたサンタクロースのシルエットをプラスしたんですよ。
どんな場にもしっくりとなじむ単衣
この秋草柄も、静かなトーンのやさしい色あいで、一見すると無地のよう。着こなしやすい一枚です。気候が大きく変わって、特に秋はいつまでも暑いから、単衣を着られる期間も長くなりましたよね。こんな自作アレンジの帯を合わせると、初秋にぴったりの装いになります。これはタヌキやウサギが織り込まれた塩瀬の帯に、二色のリーフを染め分けて自分流にアレンジしたものです。動物たちがかくれんぼしているみたいで楽しいでしょう。同じリーフ型で染めた半衿もお揃いでつくって、コーディネートを楽しんでいます。
合わせるものによって表情が変わる羽織
これは反物でひとめ惚れした生地を、ひとえ仕立ての羽織にしてもらいました。本当に色がよくって、おとなしめの着物に合わせると上品に、アンティーク着物に合わせるとこっくりと深みがある雰囲気にと、合わせるもので異なる雰囲気が演出できます。真夏以外のすべてのシーズンに着られる、出番の多い羽織です。合わせたパラソルは、大好きな鉄線柄を染めたもの。こんなふうに、いろんな既製品にアレンジを加えてたまこ流ファッションをつくるのが楽しくて、和物から洋物まで、次はこれ!次はこれ!と、創作意欲がとどまることを知りません。それも私の無茶ぶりに対応してしっかりサポートしてくださる白石先生の存在あってこそ。これもまた、着物がつないでくれた出会いです。