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ご贔屓さんのクローゼット

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  3. NO82「舞踊家として、振付師として、舞台に生きる日々」飛鳥左近さん

closet : 82
舞踊家として、振付師として、舞台に生きる日々

日本舞踊飛鳥流の家に生まれ、三代家元に。初代のお父様、二代目のお母様も現役でご活躍、お兄様は歌舞伎俳優・三代目市川右團次さんというきらびやかなご一家。左近さんご自身、家元としてのご活動に加え、振付師としてもスーパー歌舞伎や滝沢歌舞伎他、多くの舞台を一手に担っておられます。

みんなと一緒にいるために踊った子ども時代

日本舞踊飛鳥流を創流した父・飛鳥峯王は、日本舞踊アカデミーASUKAを創設し、それまでにはなかったダイナミックな群舞で注目を集めました。当時は1年のうち300日はステージという毎日。家には内弟子さんもたくさんいて、物心ついたときから踊りが生活そのものでしたね。踊れないとお留守番、踊れたら公演に連れて行ってもらえるということで、不器用ながらも一生懸命にお稽古していたなと思い出します。小学生時代は兄とともに歌舞伎の舞台にも立っていました。そんな中で兄は三代目市川猿之助(現猿翁)師匠と運命的な出逢いを果たし、憧れて憧れて歌舞伎俳優の道を選び師匠について東京へ。私はその後も学業と両立しながら踊り続けました。藤間紫氏にも師事し、藤間流師範名取も授かっています。おのずと振付もするようになり、大阪芸術大学時代には劇団☆新感線の振付指導も始めました。

どんな舞台でも美しく魅せられる振りを

自ら舞台に立ち続けながらも、近年ではとみに振付や所作の指導をすることが多くなってきました。舞踊団でさまざまな舞台を経験してきたので、邦楽にも洋楽にも対応でき、舞台ならではのタイミングや構成もわかる、人数処理もできると、お仕事がいただけるのはありがたいことです。指導する対象は本当にさまざま。日舞をやってきた人とバレエをやってきた人では、まったく感覚が違うので、できるだけ揃えた時に美しく見えることを意識して振付けます。みなさんプロで意識が高いのが共通点ですから、最初は苦労しても本番にはできあがります。そんな達成感もまた、振付師という仕事の魅力ですね。これからオリンピックに向けて、本格的な日本舞踊の需要がどうなるかは予測がつきませんが、海外に向けて発信しても恥ずかしくないものをつくっていきたいと思います。

私のお気に入り

英との長いおつきあいを物語る流派の紋付

父母とともに、英とは長いおつきあいになります。これは平成元年に飛鳥流の創流舞踊会にあわせて洗える帯とともに揃いでつくった紋付。白塗りのお弟子さんが舞台上に並んで口上をする時に着るものですから、紋付であっても洗えるきものにしました。日本画家の小川雨虹先生に正倉院御物から描き起こしデザインしていただいた意匠もなんともいえない美しい色合いです。何年たっても何度洗濯しても、このとおり色あせることもなく、あらためて感心します。

気がつけば同じ柄も色違いで数種類

オペラの所作指導で海外へ行くことも多いのですが、外国の稽古場は床の状態が日本と異なるので、掃除が行き届いていても着物が汚れることがよくあって。約1カ月の公演の間、部屋に戻って着物を洗っては干して、繰り返し着ることになります。英の着物がないとどうしようもないんです(笑)。意識していなかったけど、同柄色違いもたとえばこんな感じで何枚も持っていたりします。この市松は何にでも合うから重宝しますね。黒白のものは、コートとして仕立ててもらいました。英の着物は着ていると決まって「おしゃれですね」と褒められるので、私まで鼻が高いです。

きちんとした印象を伝えたいときは黒地

黒地は好きで、特にたくさん持っているかもしれません。上品な小付けの飛び柄は、ちょっと格のある装いがしたい時にも活用できるし、稽古場でも着られるしと、応用範囲が広いのも魅力です。また、私はその日着るものである程度気分も左右されるので、特に振付の初日などで気合を入れなければいけない日は、同じ黒でも大柄の迫力のある柄を選ぶようにしています。

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